(明るさを表示する場合白熱電灯でのW数で表記します。蛍光灯やLEDなど省エネ電球の場合は表示W数相当のものを対象にしてください)
求める明るさ、心地よい明るさなどというのは人によって違うものですが、「寝室」はその差が大きく出るところです。正直申し上げて、長い経験をもってしても、いまだに寝室の照明に求められる「明るさ」に関しては、「一般論はない」と言わざるをえません。
広々とした寝室に灯るお月さまのようなシーリングライト。こちらは60W電球使用。
ある人は8畳程度の広さで、寝室は60Wの灯り一つが良いと希望されました。たしかに手元に灯りさえあれば実際の不便はほとんど感じることなくとても落ち着いた空間で、就寝前の時間をしばらくここで過ごしたい、と思わせる明るさになりました。
逆に、寝室といえども寝るだけの場所ではなく、少し体を動かしたりもするので十分な明るさが欲しい、さらには豪華な感じがあってほしい、という方もおられます。
真鍮製灯具のおしゃれで可愛いシャンデリア。寝室の雰囲気と相性ばっちり。
結論としては、寝室はとにかくお一人おひとりとお話をしてから丁寧に照明計画を進めたい場所です。
どうぞご遠慮なくご相談下さい。
そういうことで、全体の明るさについては何もきまりはないのですが、個々の照明器具については寝室に向いている照明があるかもしれません。
ログハウス風のおしゃれな寝室にブラケットライトを設置。布シェードを被せて暖かな光になっています。
たとえば、おやすみの直前にあまり眩しい光が目に入ると、穏やかに就寝するのを妨げたりします。角度的に電球が目に入るかも、と思われる場合は40Wを上限に考えると良いと思います。
もしくは直接電球が目に入らないような器具を選ぶというのも良い方法です。
電球をすっぽりと隠すようなガラスシェード、電球の下方向にガラスがあって、光はあくまで天井方向に行ったうえで、反射で下りてくるタイプの照明器具などがそれに当たると言ってよいでしょう。
欧米タイプのホテルなどでな顕著ですが、天井には照明を入れないで、すべて壁照明でまかなっている客室が多いと思います。
日本の寝室ではさすがにそうもいかない(もちろん、そうなさってもOKですが)ので、もしも重点的に照明を多用するのであれば、天井にはそれを補うようにダウンライトを入れるのも一つの方法です。そのとき、リビングのように部屋の四隅にきちんと配置するのではなく、足元の上にダウンライトを配置し、ベッドに横になったとき目にダウンライトの光が直接入ってこないようにしたいものです。
壁照明の替わりに、枕元にテーブルランプなどを置くのもよい考えです。この時の天井照明も上と同様にお考えになれば良いとおもいます。
おやすみになる前に少し読書を、という方も多くおられます。ベッドの頭の壁にブラケットライトなどを用意して、これで読書を、とお考えの方も多いでしょうが、実はこれ、ちょっと注意が必要です。
たしかに、欧米の人がそのようにブラケットライトを使うのはとても有効だと思うのですが、日本人の場合は見え方が違うために、なかなかそうもいきません。
欧米の人たちはかなり暗い環境でも平気で文字を読むことができるようですが、日本人は一般的にそうではありません。確実に書物などの上に光が来るように設置するのは結構困難なことです。特にトラディショナルな照明器具にこの役割を果たすことは難しく、どうしても機能性の高いものには負けてしまいます。
もちろん、おやすみ直前に必要な光としてお使いになる分には全く問題なく、とても有効です。でも、「読書」となると光の量、質ともに、もっとしっかりしたものが必要と感じる場合が多いですし、また、角度、となりの人の就寝との兼ね合いなど、考慮すべき点が数多くあります。十分な検討をなさることをお勧めします。
その点、枕元に読書用のスタンド、とくに角度を変えられるものをご用意なさると、上に述べた多くの点が解決されますから、そちらでのご検討もなさってください。