お客様の目も大切ですが、お住まいになるのは皆様ご自身です。もう少し自由にお考えになって結構かと思います。
・リビングの主照明を中心に考えて、ダイニングはペンダントライトだけにしたり、あるいはダウンライトやスポットライトだけにする。 ・リビングの照明はきちんと明るさのとれるシンプルなものにしておいて、あるいは、ダウンライトだけなど、それ自体ではほとんど主張のないものにしておいて、代わりにダイニングテーブルの上にアクセントになるような照明を下げる。 ・リビングにはトラディショナルな、ロウソクのデザインのシャンデリアを下げ、ダイニングのほうはガラスシェードを使った小さめの照明とする。 などなど、いろんなやり方があります。 どっちを「主」にしようか、どっちを「従」にしようかと考えつつ選択されると良いでしょう。照明をプランするときに大切な要素の一つが「高さ」です。リビングとダイニングの照明を考えるときにもこんな風に考えると良いと思います。
リビング、ダイニングそれぞれについても後で述べますが、ここではその2つの関係性を簡単に述べます。(どれが正しい、というわけではありません。)
・2つの照明が違う高さにある場合は、同じ高さにあるときよりも「離れた」印象を受けます。また、その2つの照明が異なったものであっても、視覚的にその差異に違和感を覚えなくなります。
・普通の姿勢で目に飛び込んでくるもの、すなわち天井近くにあるものよりも目の高さに近いもののほうが注目してもらいやすい傾向にあります。すなわちダイニング照明のほうがその可能性が高いのです。
・逆に、リビングとダイニングの照明の高さを同じにして、なおかつともに同じ照明、または同じグループの照明にすると、リビングダイニングが大きな一つのスペースとして使いやすくなります。将来にわたっていろんなレイアウト変更がしやすくなる、という利点が生まれます。
図面を見ただけではつい見落としてしまうのが、キッチンとダイニングテーブルがどんな位置関係にあるか、という点です。特に対面式のキッチンなどでキッチン照明が流しの上にくる場合などはこの点に注意してください。
この場所の照明を考えるときには、まず予定されているテーブルと椅子をそのサイズ通りに平面図に書き込んでみてください。そして次の点について考えます。
・ダイニングテーブルの中心位置に照明器具を持ってくることができるかどうか。
・テーブルとキッチン(キッチンカウンター)とはどれくらい離れるか。あるいは、カウンターとテーブルをくっつけて使う可能性があるかどうか。
・カウンター照明として予定される取り付け位置と、ダイニング照明の取り付け位置はどれくらい離れるか。
そしてこんな風に考えます。
・ダイニングテーブルの真ん中に照明がくる(あるいは真ん中のラインに配線ダクトレールが設置できる)のであれば、下のほうまで照明器具を垂らすことができます。その場合、もしもキッチンカウンターにペンダントライトなどを下げるならば、その距離には注意が必要です。ある程度離れていれば問題ありませんが、そうでなければ、まずは2つの照明の高さを意図的に変える(20㎝程度の差をつける)ことでうまくいくことが多いですし、あまりに近いようであれば、片方を天井づけにしてしまうとかダウンライトにしてしまう方法もあります。
・ダイニングルームの真ん中に照明の電源が用意されていて、そこにはダイニングテーブルが来ない、あるいは将来いろいろとテーブル位置を動かすかもしれない、という場合は、ダイニング用照明はそんなに下げるわけにはいきません。床から190㎝以上離す、あるいは天井につける形でも良いと思います。これでテーブルは動かしやすくなります。また、その時キッチンにはペンダントライトなどをたっぷりと下げて(邪魔にならない程度に)見せ場を作ってください。